多年草・宿根草

セイヨウフジバカマ

  • 学名…Conoclinium coelestinum (L.) DC.
  • 別名…ユーパトリウム、ヨウシュフジバカマ、アオバナフジバカマ、ミストフラワー他
  • 科名…キク科
  • 属名…コノクリニウム属
  • 原産国…アメリカ南東部、メキシコ
  • 花色…ブルー、白、ピンク、紫
  • 草丈…50㎝~100㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 10

セイヨウフジバカマ

セイヨウフジバカマ(ユーパトリウム)

セイヨウフジバカマは、北アメリカ原産のキク科コノクリニウム属の多年草です。
分布域はアメリカ南東部からメキシコにかけて広がっており、自生地は森林や茂みの縁、河川や池に沿った地域に多く自生しています。

かつてはヒヨドリバナ属に分類されていたため、ヒヨドリバナ属の学名であるユーパトリウムの名前で呼ばれることもあります。
その他、洋種フジバカマ、青花フジバカマ、ミストフラワーなどの名前でも流通します。

セイヨウフジバカマの名前は、かつて同属であったフジバカマに花姿が似ていることに由来します。


セイヨウフジバカマの花期は7月~10月。
花期になると、茎の頂部に多数の頭花(とうか)が集まった花序を出し花を咲かせます。

頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、多数の小さな花で構成されています。
多くの場合、中心部分の管状花(かんじょうか)と、外周で花弁のように見える舌状花(ぜつじょうか)で構成されます。

▼セイヨウフジバカマの花序

セイヨウフジバカマ(ユーパトリウム)の花序

セイヨウフジバカマの頭花は直径0.7~1㎝程度の大きさで、管状花のみで構成されています。

▼セイヨウフジバカマの頭花

セイヨウフジバカマ(ユーパトリウム)の頭花

管状花は先が小さく5裂した筒状で、35~70個が密生しています。
花冠から長く突出しているのは2裂した雌しべの花柱です。
雄しべは雌しべを取り囲むように、筒部の中にあります。

▼セイヨウフジバカマの管状花

セイヨウフジバカマの管状花

花は長い花期の間、次々と開花します。
花色は基本種の青紫の他、白。

▼白い花を咲かせるセイヨウフジバカマ

白い花を咲かせるセイヨウフジバカマ

果実は長さ1.6~2.4㎜の痩果(そうか)。
痩果には多数の毛状の冠毛があります。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。

▼セイヨウフジバカマの果実

セイヨウフジバカマの果実

葉は対生し、長さ1~10㎝の卵形に近い三角形で縁に荒い鋸歯があります。

▼セイヨウフジバカマの葉の様子

セイヨウフジバカマの葉の様子

基本種の茎は紫色を帯びており、細かな毛で覆われていますが、種により色や毛の多少にばらつきがあります。
茎はよく分枝して花を咲かせながら草丈50~100㎝程度に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるセイヨウフジバカマ

たくさんの花を咲かせるセイヨウフジバカマ

耐寒性、耐暑性に優れており、育てやすい植物です。
放任でもよく花を咲かせ、地下茎でよく増えます。
冬には地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。

セイヨウフジバカマとアゲラタム

よく似た花を咲かせる植物にアゲラタムがあります。
アゲラタムはカッコウアザミ属の一年草です。

▼アゲラタムの花

アゲラタム(ムラサキカッコウアザミ)の花
ムラサキカッコウアザミ(Ageratum houstonianum)

花や草姿がよく似ているため、セイヨウフジバカマは宿根アゲラタムと呼ばれることもあります。
両種の違いは種子の冠毛にあります。

セイヨウフジバカマ…冠毛は毛状
アゲラタム…冠毛は鱗片状、またはトゲ状

▼アゲラタムの種子の様子(ムラサキカッコウアザミ)

アゲラタムの種子の様子

セイヨウフジバカマは旧学名からユーパトリウムとも呼ばれますが、ユーパトリウムとして流通している中には、セイヨウフジバカマ以外の植物も含まれています。
例えば、ユーパトリウム・チョコレートとして流通する品種は、マルバフジバカマ(Ageratina altissima)の園芸品種であり、現在はアゲラティナ属に分類されています。

これは、詳細な研究が進んだ結果、ユーパトリウム属の植物の分類が大幅に変更されたためです。

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セイヨウフジバカマの育て方

ユーパトリウム(セイヨウフジバカマ)の育て方

栽培環境

日なたから半日蔭の水はけが良い場所が適しています。
日照時間が足りないと徒長し、花付きも悪くなるので少なくとも半日程度は日が当たる場所で育てて下さい。

冬越し

耐寒性、耐暑性共に優れており、暖地、温暖地では特に対策の必要はありません。
地面が凍るような寒冷地の場合は、敷き藁や盛り土をして凍結対策をして下さい。
また鉢植えの場合は、凍らない場所に移動するか、鉢を土の中に埋めるなどの対策を施します。

春の芽吹きは遅めです。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

夏場に長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

やせ地でもよく育ち、必ずしも肥料を必要とする植物ではありません。

庭植え、鉢植え共に、春と秋に様子を見ながら緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
多肥にする必要はありません。
肥料が多いと茂りすぎたり、草姿が乱れます。

植え付け、植え替え

適期は春の3月~4月中旬です。

植え付け(用土)

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作ります。
やせ地の場合は、緩効性化成肥料を元肥として用土に混ぜて下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。

植え替え

生育旺盛で、根詰まりを起こしやすい植物です。
鉢植えの場合は、基本的に毎年株分けを兼ねて植え替えを行います。
庭植えの場合は、株が込み合っているようなら掘り上げて、株分けを行って下さい。

切り戻し

6月頃までに切り戻しを何度か行うと、草丈を低く押さえることが出来ます。

増やし方(株分け、挿し木)

株分けと挿し木(挿し芽)で増やすことが出来ます。

株分け

適期は3月~4月中旬です。
植え替え時に、掘り上げた株を分けて植え付けます。
あまり小さく分けず、2~3芽ずつに分けるようにして下さい。

挿し木(挿し芽)

適期は5月~6月です。
茎の先端を数節切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に葉を取り除いた節が埋まるように挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。

病気・害虫

春と秋にアブラムシが発生することがあります。
見付け次第駆除して下さい。

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